教職大学院生がみる教員採用試験 〜教員採用試験ってなんなの?〜
この記事を見てくださっている方は、きっと教員採用試験に何らかの興味を持っている方だと思います。
受験しようと思っている方や、受験はしないけど一体何をするのだろうと思う方、あるいは受験者の親だけど調べてもよくわからないという方もいると思います。
そこで本記事では、難しい話は一切抜きにして、教員採用試験とは一体どのようなものなのか、
そして教職大学院生として、教員採用試験をどのように見ているのかを書いていきたいと思います。
どうしても感じが多い記事になりそうで嫌なので、出来る限りフランクにまとめていけたらと思います。
是非最後までご覧ください。
目次
1 教員採用試験とは〜どんな自治体が試験をしているの?〜
そもそも教員採用試験とは、
公立の学校における教員を採用するために、都道府県、あるいは政令指定都市の単位で行う筆記、面接、実技などの試験
です。
ここで一つのポイントは、都道府県と政令指定都市が採用する権利を持っていると言うことです。
「でも市立の学校とかあるじゃん」
という疑問が当然生まれると思いますが、実は、教員の採用については、
ですから、例えば愛知県を例にとると、愛知県内の各市町村の学校には、
愛知県教員採用試験を合格した人が勤めている
のです。
ただし、政令指定都市については都道府県と同様の権利を持っていますので、教員採用試験を行うことができます。
よって、同じく愛知県を例にとると、名古屋市は政令指定都市ですので、教員採用試験を行っています。
つまり、愛知県内では、愛知県教育委員会と名古屋市教育委員会が独自に試験を行い、教員を採用している
ということになります。
ただし注意しなければならないのは二回試験があるからと言って両方受けられるとは限らないということです。
両方受ける人を想定して、同じ都道府県内であれば、試験日を同じにしていることが多いです。
神奈川県などは3つの政令指定都市と神奈川県とで、4つの試験を行う自治体が混在していますが、やはりかぶっています。
本当に受けたい自治体は絞る必要があるので、その点はご注意ください。
2 試験日程はどうなっているの?
上でも少し書きましたが、試験日程は意外とかぶっていることが多いです。というのも、大体の自治体が7月に試験を行うからです。
こちらは「資格のTAC」さんからお借りした画像になりますが、これを見ると、近くの自治体同士の色が同じになっていることがわかると思います。
理由については、おそらく他の自治体への流入を防ぐためだと思われますので、
併願するなら最大4つまで
というのが現実です。
ちなみに筆者は2つの自治体を併願しました。
交通費や滞在費もありますのでそれが限界だったかなという感じです。
出来る限り受けたいという方は、日程を確認した上で併願することをお勧めします。
また、二次試験が被っているとせっかく複数の一次試験に受かっていても合格をもらえないなんてことになってしまいます。
実はこちらは意外とかぶらないこともあります。予め確認はしておいてくださいね。
3 倍率は?
倍率については所詮数字なので、受かる人は受かる、それだけです。
以下の画像を参照してみてください。
(Nsk教採ネットのHPより)
4 試験内容は?
試験の内容は、主に、
・筆記
・面接
・実技
の三つがあります。
多くの自治体では一次試験にて筆記試験と個人面接を行っております。
まずは一次試験に多いものから書いていきたいと思います。
⒈筆記試験について
筆記試験は、大きく3つに分かれます。
・専門教養
・一般、教職教養
・小論文
Ⅰ専門教養
専門教養とは、受けたい学校種で必要となる知識を問うテストです。
小学校なら小学校で教える教科の知識、中学校であれば自分が専門とする教科の知識を問われます。
ここも自治体によって試験内容が大きく異なってきます。
例えば静岡県であれば、教科書をどのように教えるかといった知識を求められますし、東京都では純粋に教科に対しての知識を問われます。
ここは過去問を手に取って確認していただければと思います。
筆者は下の参考書を使っていましたので、参考にしていただければと思います、
この専門教養については単純に勉強することで点数がついてきますので、改めて自分が忘れてしまっていたであろう知識を再確認してみてくださいね。
Ⅱ一般、教職教養
この試験では、いわゆる一般的に知っていた方がいい教養や、教員になる上で必要な教養が問われます。
一般教養では、時事問題や漢字の書取り問題、文章を読んで回答するものや計算問題、果ては作曲家や絵の作者について聞かれることもあります。
何が出題されるのかは全く読めませんので、日々の過ごし方を少し変えて、アンテナを高くしながら生活する必要があるかと思います。
教職教養では、心理学の知識や法律の知識、教育の成り立ちなどが問われてきますので、とても幅が広いのが特徴です。
一方で、幅が広い分自治体によって出す範囲に特徴があります。
全く心理学の問題を出さないところもあれば、全て法律なんて自治体もあります。
受けたい自治体の特徴をしっかり捉えられていれば対策ができるのかなと思います。
筆者は下の参考書を使っていました。
こちらの問題集は、とにかく分厚い。その分全てを網羅しているので、家に据え置いて本格的に勉強するのに適しています。
ちなみに持ち歩きたい方は下の小さいものもありますのでそちらも検討してみてください。
Ⅲ小論文
小論文は大学入試で扱っているところもあるように、作文力と知識の扱い方を問われる試験です。
答えがなく、自由に回答ができることが大きなポイントです。
対策としてはまずは小論文の体裁を知ることでしょう。小論文には書き方がありますので、まずはその書き方を覚え、それになぞらって練習していくと良いと思います。
筆者は信頼できる大学教授に頼み、添削をしてもらいました。
ポイントは、もと教師や、もと校長といった教授ではない人に見てもらうことです。
あくまで、もと教員は学校の先生であって作文の専門家ではありません。
あくまで論文の小さいものなので、勉強を得意とする教授に添削をお願いすることをお勧めします。
⒉面接について
次に面接についてです。面接は大きく四つに分かれ、
・個人面接
・集団面接
・集団討論
・集団活動
となっています。それぞれ見ていきましょう。
Ⅰ個人面接
個人面接はその名の通り一人で面接官に向かい合って行う面接です。
志願理由や教員としてどのようなことをしてみたいかなどが問われます。
何が聞かれるかについては本当に幅広いため、なかなか対策が難しいと思われがちですが、実は自治体によって色が違うのです。
どう違うかと言いますと、例えば静岡県では、静岡県、浜松市、静岡市と三つの自治体が試験をとり行いますが、場面においての具体的な対応方法を問われることが知られています。
不登校の児童に対してや、保護者との関係性などがその例ですが、そうした特徴を掴むことができれば対策が可能です。
これは大学のセンターなどが情報を持っていると思いますので尋ねてみるのがいいでしょう。
また、大学では、とにかく多くの先生に面接を見てもらうことで対応することができると思います。
面接については退職した教員の方や校長職の方に見て貰えば面接官にウケる答え方がわかってきます。
どうしても受かりたいならこのウケ方を分析してください。
自分をしっかり見て欲しいなら対策しなくてもいいですが、不安が残ってしまいます。
ぜひいろんな先生に声をかけてみてくださいね。
Ⅱ集団面接
集団面接は、多くの受験者と複数の面接官が一つの質問に順に答えていく面接です。
あまり取り入れている自治体は多くないと聞いていますが、それでもやはり存在はします。
この形態は他の試験方法とミックスして行われることが多いです。
例えばこの後書きます、集団討論と呼ばれるものと混在している場合もあります。
集団面接ののちにお題が与えられ、集団討論に移っていきます。
この対策も個人面接と変わらないので、基本的には集団のプレッシャーに打ち勝てるようにメンタルを鍛えておきましょう。
Ⅲ集団討論
集団討論では、一つのお題を面接官より与えられ、そのお題に沿ってみんなで話し合いを行います。
お題について自分の考えをまとめる時間が与えられ、その後に司会者や書記、タイムキーパーなどを決めて話し合いに移るのが一般的です。
これは企業面接でのグループワークなどと変わりません。お題が教育的なもののだけです。
対策としては、やはり理論の裏付けがあることが必要ですので、根拠を示して自分の考えを持つことが大事になってくるかと思います。
特に大学生から現役での合格を目指している人はその実践経験がないぶん、理論で戦うしかないです。
また、必ずしも司会をやる必要はありません。
むしろ教員経験者などにまかせ、自分は議論が活発になるように手助けをするという心持ちが大切です。
周りにライバルがいると思うと少し不安になることもあるかも知れません。
そこで少し楽になるかもしれない情報を書いておきます。
それは、二次試験では半分が落ちると考えれば良いと言うことです。
つまり、討論のグループの中で半分より上の活躍ができれば合格圏内です。
例外として、議論が全く盛り上がらなければそのグループ全員が落ちることもありますが、基本的にはどうしてもうまく馴染めなさそうな人を見抜くためにありますので、グループ内で活躍することが重要になってきます。
普段より仲間内で話し合いをする際に、どうしたら話し合いが深まるかを考えて行動してみるといいのではないでしょうか。
Ⅳ集団活動
これはちょっと特殊な例です。
学校を想定した集団での模擬活動を要求されることもあります。
例えば、「運動会での新しい競技として地域独特のものを考えようと思います。皆さんで話し合って、必要な準備をしてみてください」
といった形で2時間ほどかけみんなで活動を行っていくというものです。
基本的には参加していれば受かります。
参加ができなければ落ちる、それだけです。
行っている自治体も少ないので、そこまで深く考えなくても良いでしょう。
⒊実技について
最後に実技です。これは大きく二つのパターン、
・体育の実技
・音楽の実技
があります。では見ていきましょう。
Ⅰ体育の実技
自治体によっては、水泳、またはマット運動や鉄棒などを求められることがあります。
水泳は25Mを自由形で泳ぎ切るといったものが多いようです。
泳げればいいだけなので、単純に泳げなければ落ちます。
マット運動も前周りや開脚前転など基本的なものだけです。
鉄棒は逆上がりを求められるところが多いです。
至って単純で、できなければ落ちるだけなので練習しましょう。そんなに高度な技術は求められていないので、一ヶ月前ほどから練習すれば良いと思います。
Ⅱ音楽の実技
音楽と書きましたが、実質ピアノ伴奏です。
小学校限定ですが、各学年4曲、計24曲の全国共通の歌曲があります。
それらのうちの一つを演奏するという課題です。
割と多くの自治体が取り入れているかと思います。
教育学部に通っていれば音楽の授業は必須ですし、ピアノも練習しているはずなので、経験はあると思いますが、それでも苦手な人からしたら溜まったものじゃないですよね。。。
以前長野県を受けた知り合いは、音楽が全くダメだったのですが、数ヶ月前から必死に練習をしていました。見事合格していたので、練習さえすれば突破できそうです。
ちなみに筆者は音楽経験者なので、もし苦手な方がいたらコメントをいただければ助言もできるかもしれません。
5 教職大学院生(私個人)としての見方
以上、教員採用試験について書いてきました。一応教育に携わっているものとして、試験に触れることも多かったので、参考になれば幸いです。
さて、私個人の考えや思いを書いていきたいと思います。
個人的には面接でとても嫌な思いをしました。
簡単に言えば圧迫面接です。
貧乏ゆすりに、「言っていることが矛盾している」と詰め寄られたり。
それはそれは辛かったです。
しかしながら、そこでどう考えを展開させられるかが勝負かなと思いました。
そこまでされてもその自治体にこだわるのか、それとも自分を認めてくれる自治体を探すのか。
多くの大学生は自分の地元の自治体に勤めようとします。気持ちはわかりますが、本当に教育をしたいのであれば自治体は関係ないのではないでしょうか。
教職大学院に通う自分としては、まさに自治体よりも信念だと思っています。
自治体でやりたい教育を左右されるのではなく、自分の信念に基づいた教育をさせてもらえる自治体を選びたいものです。
教員のキャリアは自治体を変えても積み上げられますし、一旦地元を出ても、また戻ってくることだって可能です。
なので、私個人としては、自治体を見つめ、自分のやりたいことが本当にできるのか考えるべきだと思います。ICT機器を使った教育がやりたいのに導入されていなければもとも子もありません。
また、多くの自治体を受けることをお勧めします。
教員採用試験は水ものです。
その時の面接官との相性で落ちることもざらにあります。
そんな時に補償があれば安心できますよね。
とはいえなかなか勇気が出ない人もいるかもしれません。しかしながら、この記事を読んだ上であなたはどう考えますか?
将来子どもにアドバイスや勇気を出してなどと胸を張って言えますか?
まずは自分が勇気を出してみてください。もしそれでも一つの自治体にこだわるならその根拠を見つめ直してください。それが面接での志願理由を答える力になります。
この記事を読んだ方が、少しでも参考にして教員採用試験に受かってくれたのなら、また、教員採用試験を受ける方を支えてくれたのなら幸いです。
それでは本日はここまでにします。
もし質問等があったり、間違いなどがありましたら、トップに貼ってあるメールアドレスか、あるいはコメント欄に書いていただけたらと思います。
それでは本日もお疲れ様でした!